2024/5/27 自己信頼

後日談---あの元上司が、部下になる

(講座修了者からのメールを元にプライバシーに配慮して再構成しております)
 
元の記事はこちら→「あの元上司が、部下になる」
 
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あの元上司が、部下になって3か月がたった。
 
強烈なキャラクターで知られる元上司のAさん。
Aさんの異動人事が社内公表され、Aさんから赴任前に電話やメールで私にあいさつがあるかと待っていたが、結局赴任当日まで何も連絡がなかった。これはある程度予想していたこと。人の気持ちを不安でゆさぶるのが得意なAさんの策略かもしれない。
だけど、Aさんもまた、戦々恐々としているに違いない。
過去の経験から、このままノープランでAさんの赴任日を迎えると、対決になるのは明白。
 
Aさんが赴任してくるまでの日々、Aさんとの会話をシミュレーションし、そして何回も繰り返し練習した。
同じ部署で働く以上、私とAさんのゴールは一緒のはず。
そのゴールに向かって一緒に頑張っていこうという思いをAさんに伝えることにした。
 
さて赴任する当日、Aさんが職場に到着する時間を見計らい小雨の中、玄関前の歩道に出て到着を待った。
歩道の先に姿が見えた瞬間、「Aさーん!待ってたよー!」と大声で、両手をぶんぶん振って出迎えた。
 
一緒にまたゴールを目指すことになって最初はびっくりしたけど、Aさんなら年齢もばらばらの多様なスタッフたちをうまくマネジメントできるし、1年後には目標以上の成果を上げることがきっとできると信じていること。
そんなことを伝えた。
 
Aさんの表情は少し硬く、「しばらく様子を見て、選択定年で退職することも視野に入れている」と、フェイントをかけてきた。
しかしここで、反応してはいけない。
なので「そうか、そう思っているんだね。だけど、それはAさんの選択に任せるよ」と伝えた。
 
後日、勇気を出して「Aさん歓迎 さし飲み」に誘った。
 
店のカウンターに二人で並び、これまでのこと、そしてこれからのことを語り合った。
 
その時、Aさんは「過去、Bさん(←私)にはずいぶん気の毒なことをしたという自覚があります」と言ってきた。
続けてAさんは、異動を告げられたとき、この地にくるかどうか悩んだことや、初出勤の日、雨の中、傘もささずに私が「Aさーん!」と大声で手を振る姿を見て涙が出そうになったことを話してくれた。
 
それを聞いた私は
「あの時は私も正直しんどい思いをしたけど、その経験も今の私を作っている一つだと思っている。これから同じゴールを目指していこう。Aさんとなら絶対できる気がする」
と伝えた。
いやー、あのAさんとこんな風に話せる日が来るとは!自分でも驚きだ。
 
あれから3か月。
思った通り、Aさんはメンバーの扱いが上手だ。任せたスタッフ達はいきいきとゴールに向かって各自の役割を果たしている。
そこで、一つ発見したことがある。
 
それは、私がAさんへの話し方を変えると、過去の強烈なAさんの反応が再現されるということだ!
例えば、Aさんのミスを私が責めるような言い方をすると、激しく抗議。そして言い合いに発展するのだ。
(過去との違いは、立場が逆転したことだけだ)
 
お互いの言い分を言い合えるということは、私にとっては良いことだと思う一方で、相手の反応の半分は私が引き出しているのだなあ、ということも実感している。
 
Aさんの反応に、こうして向きあえるのも、あの時、何度も練習につきあってくれたアサーティブ仲間のおかげだ。
本当にありがとう。
 
Aさんとのどきどき わくわくのアサーティブチャンスは、果てしなく続く。