2009/6/2 講座から

アサーティブネスのDoingとBeing

先日のアサーティブネストレーナー養成講座で、参加者の方にお話ししたことがあります。それは、アサーティブネスのDoing Beingについてです。

アサーティブなコミュニケーションの方法や振る舞い、伝え方、表現方法など、いわゆる「やり方」をDoingと呼びましょう。Doingについては、ある程度練習をつめば誰でもできるようになります。意識して率直に伝えることで、伝え方はアサーティブなものに近づいてきます。

ところがそうしたアサーティブネスのやり方が知られるようになればなるほど、「やり方(Doing)」=「アサーティブ」であるかのように誤解されるようになってきました。

私自身は、「やり方(Doing)」よりも前に、「アサーティブであること(Being)」が大事なのではないかと思っています。つまり、私たちのあり方、自分との向き合い方、相手との向き合い方が本当に誠実で率直、そして対等であるかどうかが、アサーティブであるかどうかの鍵を握っているということです。

一対一でコミュニケーションをするとき、私たちのメッセージは、ノンバーバル(非言語のもの)が9割以上を占めていると言われます。つまり、話すときの態度や表情、声のトーンなど、言葉で伝えられるもの以外が相手の心に一番響いていくのです。

私たちが相手をどのように見ているのかの「あり方(Being)」は、いわゆるそうしたノンバーバルの部分で直感的に相手に伝わっていきます。誰かと5分程度話していれば、この人は自分を本当に尊重しているか、あるいは心の中で見下しているかは、わかってきませんか? どんなに口調や態度が柔らかくても、「一見」アサーティブであるように見えても、「あり方」はこちら側に伝わってくるのです。

まずは「アサーティブである(Being)」があって初めて、「アサーティブに伝える(Doing)」が生きてくるのではないか。別の言い方をすれば、Beingがアサーティブでなければ、どんなにDoingだけを磨いていっても、ますます巧妙に相手を操る結果になるということです。相手を、自分と同じように喜びも悲しみも持つ対等な人間であるとして見るということを出発点としない限り、Doingのみのアサーティブネスは偽りであると私は思っています

これからアサーティブネストレーナーを目指す人たちには、何よりもBeingを大切にして周りに影響を与える人たちであってほしい。アサーティブネスの「あり方」の大切さを伝えていかなければならないと、益々痛感しているこのごろです。