2009/8/29 事務局から
アン・ディクソン氏の新しい本を作っています
現在、アン・ディクソン著の『Women at Work』の翻訳をしています。いただいた下訳を再度日本語訳にし、11月のアンさん来日と同時に出版したいと考えています。
実はこの本、2002年に一度出版されました。『大事なことを思い通りに伝える会話術』(角川書店)というタイトルで、佐々木かをりさんが監訳しています。アンさんの来日に備えて出版社に増刷をお願いしたところ、すでに絶版になったことを知りました。
ということで、こちらも再版です。「こちらも」というのは、アンさんの『第四の生き方』も初版『アサーティブネスのすすめ』が絶版になったため、私たちで再度出版した経緯があるからです。なかなか売れない堅い本は、初版で終わってしまうという宿命があるのでしょう。結局は、私たちがほそぼそと売り続けることになると思います。
「Women at Work」は、働く女性を対象としたアサーティブネスの本です。10年前の本ではありますが、内容は現在の日本の女性たちにも十分通じるものになっています。管理職として、さらに上の上司にどのように異論を唱えるのか、男性部下の揶揄に足をすくわれないでどのように対応するか、クライアントからのセクハラをどうきっぱりと断るかなど、今の日本の女性たちにも当てはまる事例がたくさん載っています。
とりわけ、管理職にある女性たちが職場で、「権威的」になることなく「威厳をもって」どのように対応するかについては、私自身とても共感しながら読んでいます。これは女性だけにとどまらず、男性管理職にも十分通用することではないでしょうか。
7,8年ほど前まで、上意下達の組織文化の中で、上司が比較的攻撃的であっても受け入れられていたように思います。ところがここ数年「ハラスメント」に対する意識が高まってきたことと、若い部下が攻撃的な部下のもとで委縮してしまうということもあり、攻撃性を捨てた「草食上司」、つまり遠慮してなかなか注意ができない優しい上司が増えてきているようなのです。
私が管理職を対象とした研修を担当するときに一番感じるのは、相手に気を使ってなかなか注意ができない管理職に、威圧的や権威的になることなく、遠慮して回りくどくなることもなく、「威厳をもって」相手を尊重しつつアサーティブに注意をするスキルが必要だということです。
本書の「威厳を持って応対する」という章は、その意味で部下を持つすべての人に読んでいただきたい内容です。「上」の立場から「下」の立場へ、相手を人間として対等に尊重しつつ、それでも威厳をもってきっぱりモノを言う。上下関係のある組織の中で、なお人として対等であるとはどういうことかのヒントがたくさん載っています。
ぜひともお楽しみに。