2010/2/15 出張から

大都会の中で

先日、午前中の飛行機で出張に出かけることがありました。いつもは朝のラッシュを避けるために早めに家を出るのですが、その日に限ってラッシュアワーのど真ん中にあたってしまいました。

山手線に乗ってからが本当に大変でした。隙間の見えない空間にもぐりこむところから始め、その後はドアが開くたびに、降りた人以上の人がどんどん乗ってきます。狭い空間にここまで人間の体が入る余地があるのかと考えながら、つぶされないように必死で自分の体とカバンを守っておりました。

電車の中では誰もが目を合わさないように、そしてできるだけ体に触れないようにしながら、外に目を向けるか新聞や雑誌に目を通しています。周りに人がいることを意識からいったん遮断して、身体の神経を無にするしかありません。

そういえば、と、思い出したことがありました。

もう20ん年前のこと。大学を受験するとき、東京を知らない私は勧められるままに都心の池袋に宿を取りました。受験の場所は小平市。山手線から中央線に乗り換え、更に私鉄に乗りついで1時間以上かかる場所です。前日の下見ではスムーズに会場に到着できたのですが、受験当日の日の朝、新宿までの山手線は、初めて上京した18歳の女子高生にとっては想像を超える状況でした。自分の体がつぶれてしまうのではないかと思うほど、ぎゅうぎゅう詰めの満員電車。目の間に大きな男の人がいると、息をすることもできません。駅に到着してどっと人が降りたあと、今度はもっと多くの人が乗り込んできます。ええーっと思う間もなく、車両の中は更にぎゅうぎゅう・ぎゅうぎゅう・・・。

ある駅に到着したとき、男の人の声が聞こえました。
「降ります、降りまあーす」
声はあっという間にかき消され、男の人は降りることなく乗ってくる人たちの波に飲み込まれてしまいました。あの人は大丈夫だったのだろうか、私は降りることができるのだろうかと、不安を抱えながら電車に乗っていたのを覚えています。

ラッシュアワーの電車に乗るたびに、東京は本当に大都会なんだと、今でも驚きます。

その"大都会"に住んだ年月の方が、上京する前の年月よりもいつの間にか長くなりました。現在は都心から1時間ほど離れた街に暮らしているため、早朝出張がない限り朝の電車を使うことはありません。正直、今もラッシュアワーには慣れません。とはいえ、何年も電車で通勤・通学されている方が、数え切れないほどいらっしゃることを思うと、頭が下がります。電車通勤・通学をされている方々、どうぞくれぐれもお体をお大事にしてくださいね。