2010/11/23 汐生の思い

課長さんにこそアサーティブを

先日NHKの『クローズアップ現代』で、「課長!イキイキ働いてますか?」を観ました。非正規社員や嘱託社員など働く形が多様化し、成果を厳しく求める上司のもとで様々な価値観の部下をまとめていかなければならなくなって苦悩している課長の姿を浮きぼりにしたものでした。

"昭和時代"の上司からは「もっとビシビシ部下を叱ればいいんだ、自分だってそんな風にして鍛えられた」と"部下指導力"の欠如を指摘される。しかしながら、「ビシビシ」叱っても30代以下の"平成部下"のモチベーションは上がるはずはない。その間に挟まって、どう伝えていいか悩み孤立する課長さん。「多面観察」という名の24のリストを使って部下からも上司からも評価され、自己評価と他己評価のギャップについて話をするよう求められて言葉に詰まる課長さん。

私が研修先でお目にかかるたくさんの管理職の方々の姿と重なりあい、上と下の間に挟まれ人間関係やコミュニケーションで悩む課長さんたちの状況に深く胸を打たれました。

メンタルヘルス耐性調査でも、組織の中では課長層が最もストレスが高いという結果が出ています。一生懸命がんばれば業績が上がり成果が出るという時代を生きてきた50代後半の部長さんや常務さんとは全く違う課題に、現代の課長さんたちはぶつかっています。がんばっても業績は上がるどころか下がっているのが今。管理の仕事よりもプレイングマネジャーとして自らも動きながら、現場と管理をつなぎ多様な価値観の部下とつきあい、身を粉にして働く課長さんたち。

そうした悩める課長さんたちとアサーティブトレーニングを行うと、部下に対する指導についてのノウハウを学ぶこともありますが、えてして孤立しがちな彼らが「わかってはいるんだけど、実は大変なんだ」と、正直に心の中を打ち明けて、「自分は一人ではない」、「自分なりにがんばっていけばいい」という、お互いのサポートが大きな意味を持つのがわかります。「ほめる・ほめられる」というテーマでは、誰からも認められなくても自分なりにがんばってきたことを認め、お互いねぎらいあってほっとしていらっしゃる姿も多く見かけます。

こうした課長さん層へのサポートは、今こそ本当に必要なのではないでしょうか。メンタルヘルス対策のように、「起きてから」の対策も大切ですが、実はストレスにつぶされる前に、「自分以上でも自分以下でもない」という自分自身を認め、厳しい現状の中でたくましく生き抜いていく力をつける、そうした「事前予防の」サポートが求められているように思います。

がまんするのでもなく、感情的にキレるのでもなく、自分を大事にし、相手も尊重しながら、言うべきことをわかりやすく伝えて、そして聴ける。そうした「対人関係のコミュニケーション能力」は、課長さんたちにこそ身に着けていただければと痛感した番組でした。

番組に出演したお二人の課長さんに心から「お疲れさま」をお伝えします。