2011/3/23 汐生の思い
「言葉にする力」を忘れない
唐突ですが・・・。
昨日ゲラが送られてきました。1月ほど前に書いた原稿のチェックをしてほしいとのこと。
ゲラに目を通しながら、まるで別世界から原稿が飛んできたような違和感を持つ自分に、正直戸惑っています。「今の自分」が原稿を書いたら、きっと違う言葉を書くだろうな、と。
自分の中の「その前」と「その後」の断絶の大きさに、改めて驚いています。
今回の震災被害に関する情報の洪水に飲み込まれ、しばらく感覚がマヒしていました。連日流れるTVの映像を前に、「ここ」にいる自分と「あそこ」にいる人たちの遠さを痛感し、自分にできることはないかとあがき、葛藤し、自分の無力さに打ちのめされてしまいそうになることも。そうした自分の無力感と、それでも前向きに生きていかなくちゃという希望がいっしょくたになって、なんとも視点の定まらない日常が続いています。
今回の地震を機に、自分の中の何かが根本から変わりました。これまで「当たり前」と思ってきたことが、どれほど多くの人に支えられていたかを知り、自分にとって何が大切なのか、何を優先して生きるべきなのかを考えました。自分の仕事の意味も位置づけも、多分以前とは変わったと思います。まだ言葉にしきれていませんが。
被災地ではすっかり「日常」が破壊されています。その中でも希望をもって「絶対に復興させる」と決意して毎日必死で頑張っていらっしゃる方々の顔を見ると、本当に勇気をいただきます。地震から10日以上たち、人々の気持ちも復興に向けて少しずつ動いてきました。地震の直後から、立て続けに危機的状況が続いていますが、それでも危険を顧みず奮闘されている方、様々なネットワークを立ち上げて被災者の方々の支援をされている方、救援物資の配達に汗を流している方々に、頭が下がりっぱなしです。
復興にはまだまだ長い時間がかかるでしょう。被災地の人たちだけではなく、遠くにいる私たち自身も、一緒になって復興に向けて、それぞれが「自分にできることは何か」「この社会に貢献できることは何か」を考え、新しい日常を創っていくべき時期にあるのだと思います。
それでも。なかなか物事が進まない、失敗する、思わぬ危機に遭遇して動揺する、などのこともあるでしょう。そんな時は、どうぞ少し立ち止まって自分の気持ちに耳を傾けることをしてください。自分のつらさやフラストレーションから誰かを攻撃したり、身近な人に怒りをぶちまけたりすることをしないように気をつけてください。今自分は腹を立てているのか、落ち込んでいるのか、悲しいのか、どうなのか、丁寧に耳を傾けて「自分の中で言語化」し、「誰をも責めない形で言葉にする」こと。自分の要望や希望を率直に、誠実に、そして対等に伝えていくこと。アサーティブな「言葉にする力」は、こうした時期にこそ求められているのだと思います。
自分の感情を認識し、よく考え、前向きに行動する。アサーティブは自分も相手も責めない主体的なスタンス。本当の問題は何かを見すえつつ、周りの人と協力しながら、引き続き私たちにできることを一つひとつやっていくことにしましょう。