2011/5/26 事務局から
「場」の持つ力
週末のもう一つのイベントは、「ワールドカフェ」の体験でした。アサーティブジャパンの長年の協力者である、大川恒さんをお呼びしての「一日ワールドカフェ・ファシリテーター養成セミナー」。会員さんたち25名でとても楽しい一日を過ごしました。
前日のカタリバの活動と今回のワールドカフェの2つの場を学んで、いろんな気づきを得ることができました。その中でも、「対話の場を作る」ということの重要性については、本当に深く考えさせられました。
私たちアサーティブジャパンの活動は、「個人が対話をしていく力をつけること」を活動のミッションとしています。そのためには、率直に対等に話をすることのできる場を作っていく「ファシリテーター」が必要となるため、「アサーティブトレーナー」を養成することは、大切な柱の一つです。
一人ひとりが「アサーティブに生きる」ことで周りによい影響を与え、多くの人たちが「自分も相手も尊重する」力をつけることで、社会はよくなっていくんじゃないか。そうした「個人の内側の力」をつけることに、この間全力を注いできました。
今回の体験で思ったのは、「場」を工夫することで、対等な対話を促進することが可能であること。ファシリテーターが安全で対等に話せる場を作っていくだけではなくて、「場」自身が対等性を育んでいく力を内包しているということ。
個人が「点」として社会を変えていくには、時間がかかります。点が線になり、線が面になるまでには、長い長い時間がかかる。アサーティブを学んでも、数か月したらすっかり忘れてしまったり、アサーティブなんてとてもなれない現実の中で一人葛藤するうちに、「アサーティブに生きる」ことをすっかりあきらめてしまう。受講生の方々のそんな声を聞いていると、時々、目の前の道の長さに気が遠くなります。
しかし、今回の「場の力」の持つ可能性を目の当たりにして、点だけでなく面から変えていくことも可能であることを痛感したのでした。
大震災後の復興と原発の問題に直面している今の時代、もはやこれまでの「正しい答え」はどこにもなくなってしまいました。これからは、私たち自身が主体となって、答えを探求してく時代になっています。これからも対話をしながら共に試行錯誤を続けていくこと。そして、そのプロセスの中で、効果的な仕組みや方法を新しく生み出していくしかないのかもしれません。
私たちは何を求めているのか、どんな社会を作りたいのかを、一人ひとりが自分と向き合いしっかり考えていく、そして他者と対話をしながら考えていく。それと並行して、対話の生まれる場やしくみを作り出していくことも、これからはやっていきたいと思います。
そんな様々な可能性を考えながら、もう一度希望を感じることのできた週末でした。