2011/12/24 事務局から
問題解決のための対話の力
アサーティブトレーニングの中で行うロールプレイでは、「相手に〇〇を伝えたい」という思いを具体的な要求にして、攻撃的でもなく受身的でもなく誠実に率直に対等に伝えていくということを練習していきます。しかし、どんなにアサーティブに伝えたいという思いを持っていても、必ずしもそれが本当に問題解決につながっていかない場面に遭遇することがたびたびありました。
私たちの主催講座の「アドバンス講座」の中では、「相手を攻撃しない感情の伝え方」、「立ち位置を対等にする」などのテーマで、そうした「問題解決に向けての対話」を進めていくことに時間をかけて取り組んでいきます。どんなにアサーティブな姿勢であっても、結局は相手を一方的に責めてしまうという「おいしいワナ」に陥ってしまうことは、本当に、本当によくあることだからです。
アサーティブは、単に、「話す」「聞く」だけではなく、「対話を通じて問題解決をしていく視点を持つ」ことが不可欠なのですよね。
ところが、アサーティブのスキルを手に入れると、自分の思いに一生懸命になるあまりに、自分にとっても相手のとっても最良の解決策を一緒に探っていくことよりも、「伝えきる」ことに注力が注がれてしまうことは、よくあることなのです。
実は、来年度4月に学習会を企画しています。それは、まさに「問題解決に向けてのアサーティブ」ともいえる視点を、私たちが持つための時間です。
「本当に自分の意見をしっかり伝えているか、その際、相手の立場をしっかりと踏まえているか、感情と事実認識を区別して伝えているか、相手のいいところまで否定していないか、対話をすることはお互いの成長に貢献したか(対話することで、自分が傷つき、相手を傷つけていないか)」、と問いかけているのは、稲葉一人先生。稲葉先生は、元大阪地方裁判所判事で、現在、中京大学法科大学院教授、久留米大学医学部客員教授、熊本大学大学院客員教授をされています。この先生を呼んで「メディエーション」についての学習会をする予定です。
「メディエーション」とは、一般的には「調停」とか「あっせん」とか言われますが、民事上の紛争を第三者が入って「対話で問題を解決する」というものです。例えば、マンションでのトラブル、医療事故の問題解決など、裁判まで行かなくても当事者同士が話し合って問題の解決をしていく必要があるときに、対話で当事者が問題解決できるように、第三者がファシリテーターとして介入して問題解決を促進してくものです。
そこに求められているのは、お互いを理解しながら粘り強く対話を促進していく心の力、そして個人の対話の力です。
この研修については、年が明けましたらウェブ上でアップしますね。興味のある方、ぜひぜひご参加を検討ください。
さて、今年もあと1週間程度となりました。皆様には本当にお世話になりました。来年も引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。