2012/2/15 汐生の思い
新しいいのちと共に
大変個人的なことで恐縮なのですが、先月1月31日に、男の子と女の子の双子を出産いたしました。超ハイリスク妊婦だったので、年明けからずっと入院しておりましたが、私の心配をよそに、二人ともとても元気に生まれて来てくれました。
今も、この世に生まれてきた奇跡のようないのちに、心の中で手を合わせているところです。
未曾有の大震災の年に妊娠し、出産したということが、不思議な巡り合わせのような気がしてなりません。大震災は胸のつぶれるような体験ではありましたが、同時に生きることの意味や自分にとっての大切なものについて、もう一度考えるきっかけにもなりました。
絶望的な状況の中でも、人と人とが助け合い、つながりあい、手をさしのべあって生きることが可能なのだということ。人との関わりの中にこそ、希望はあるのだということ。日々を丁寧に生きていくことが、実は希望の火を絶やさないことにつながるのだということ。
当たり前のことではありますが、そうした「希望」を忘れないで生きていくことが、私たち大人の責任なのだと思わずにおれません。
今回の出産に伴い、本当にたくさんの、たくさんの方々から祝福の言葉をいただきました。一つひとつの言葉に、涙がこぼれそうになります。そんなたくさんの愛情とサポートをいただいて、いのちと希望と生きることの大切さを、改めてかみしめている毎日です。
私自身、高齢、初産、双子というハイリスク妊娠の3乗くらいだったこともあり、同じ時期に入院していた部屋には、様々なリスクを抱えていらっしゃる方々が大勢いました。重い心臓病を抱えている子どもを持つ方、双子で切迫早産になっている方も。NICUのある総合病院だったこともあり、同室の方々と抱えている不安について話すこともできました。
いのちが生まれるということは、文字通り「奇跡」であり、生まれてくるということは、無条件で喜ばれ、歓迎されることである、ということを、これほど強く感じたことはありません。生まれてくるいのちに価値の上下などないのだと、どの子どもも社会の宝物であるということを、改めて痛感した日々でもありました。
今は新しい生活に慣れることに精一杯の日々で、一日があっという間に過ぎていきます。この年齢になって、こんな新しいチャレンジを与えてくれた二人に心から感謝です。きっと想像もつかなかったような世界の広がりを、見せてくれるに違いありません。そして自分自身がアサーティブになることも、きっと試されることがたくさんあるでしょう。
希望を忘れない。震災からもうすぐ1年になる今、新しいいのちとともに、歩んでいきたいと思います。