2021/11/16 講座の報告

「ゲーム障害・ネット依存と家族コミュニケーション」講演会レポート

2021年10月30日(土)に、講師の齋藤広美さんを講師に迎え、特別講演会「ゲーム障害・ネット依存と家族コミュニケーション」をオンラインで開催いたしました。

講演には100名をこえる方々にお申し込みをいただき、皆さんの関心の高さを感じました。講演会の内容を、参加者皆さんからの感想を交えながら、簡単にご報告いたします。

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▼特別講演会「ゲーム障害・ネット依存と家族コミュニケーション」

1. 日 時:2021年10月30日(土) 14:30~17:00

2. テーマと内容:

近年若年層を中心に広がり、社会問題にもなっているゲーム障害・ネット依存について、その基本的な知識と背景を学び、家族はどのようにかかわったらよいのか、当事者を回復につなげるための適切なコミュニケーションを学ぶ

    ・ゲーム障害・ネット依存とは何か

    ・当事者とのかかわり方

    ・回復につながるアプローチ

    ・アサーティブコミュニケーションの活用

    ・質疑応答

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▼講演会の流れ

いまやこれなしでの暮らしは考えられないほど、私たちの生活に浸透しているネットやゲーム。

子どもたちの遊びや育児のなかでも当然広く使われているこれらのツールについて、私たちはどれくらいのことを知っているでしょうか。

 

まずはゲーム・ネットについてよく知ること、そしてなぜ私たちはゲームやネットにはまってしまうのか、あらためて考えてみるところから講演は始まりました。

 

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私たち(大人)は、ともすればゲームやネットは子どもにとって、「よくないもの」「害があるもの」と思いがちです。

でもほんとうにそうなのでしょうか?

 

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まずは大人自身がその思い込みに気づき、先入観なしでネットやゲームというものを理解することが出発点になる、というお話はとても新鮮でした。

そのうえで、家族は本人とどうかかわっていったらよいのか、という本題に入っていきました。

 

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大切なのは「ゲームをやめさせたい」「ゲーム時間を減らしてほしい」という「相手を変えようとする」アプローチではなく、本人の葛藤や困りごとを家族自身が理解すること、少しずつ親子で対話できる関係を築いていくこと、問題を一人で抱え込むのではなく、相談できる関係をつくっていくこと。

 

子どもの気持ち、家族の気持ち、それぞれの気持ちをごまかさずにまっすぐ向きい、そのうえで自分も相手も尊重したアサーティブな対話が不可欠であることをあらためて再確認した講演会でした。

 

※ ここから先は、参加者の皆さんからいただいた感想をもとに記事を構成いたします。

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▼支援専門職の方より(感想)

共感したり、納得したり、感情が大きく揺れ動く時間でした。

講演の中で、「ゲームやネットにどうしてのめりこむのか?」の説明をきいて、現在支援している子どもさんのことを思い浮かべていました。

子どもさんにとっては、ゲームをしている時間がとても大切で、ゲームこそ自分の居場所のような印象がありました。

そしてその保護者さんの苦悩もずっと見聞きしており、今回の講演会の内容をぜひ聞かせてあげたいと思いました。


「断ゲーム、断ネットではない。ゲーム,ネットも含めたバランスの良い生活を築けるように支援していく」

という説明は、頷きながら聞きました。

日常の関係をどう作っているかで、声をかける内容やタイミングが違うというのもとても納得がいきました。

 

会社員の方より(感想)

私はゲーム依存とはあまり接点がないのですが、アサーティブに興味があって参加しました。

しかし、序盤から一気に引き込まれました。

ゲーム依存という限られた話ではなく、何らかの問題が起きて行き詰ってしまった関係性に(あるいはそうなりそうな時に)どう向き合うか、という普遍的なテーマでした。

 

それは、

・相手とどのような関係を築きたいのかを考えること

・相手には相手なりの、やむにやまれぬ背景や理由があるのだと思いを致すこと

・自分にとっての問題点を明確にすること

・まず対話ができる関係性を作ること

・相手がそうなったのは自分のせいだと思うことと自己責任とは違うということ

・仲間と学びあうこと

などなど、アサーティブトレーニングにもつながることでした。

 

▼会社員の方より(感想)

子育て当事者でない私にも、とても興味深い内容でした。
また、対子どもならではの、成長を視野に入れた問題解決に大きな温かさを感じました。
私が印象的だったのは、講師:斎藤さんのこの問いかけでした。

「子供が夜遅くまでゲームをしていて朝起きるのが遅いことで、
家族にどんな問題が起きているでしょうか?」

ハッとする問いかけでした。

「困っている」の視点が、一気に切り替わったような気がしました。

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講演会は参加型のスタイルで、チャットを使った双方向のやり取りで進みました。

 

講演会の中で講師の斎藤さんが一貫して伝えておられた

「ゲームをやめさせることを目的としない」

という姿勢は、アサーティブが大切にしている基本姿勢「相手を変えることを目的としない」というマインドと通じるものを感じました。



でもその基本姿勢は、ひとりでやるにはとてもしんどくて、不安で、忍耐が必要です。

だから私たちは、仲間が必要だし、相談することがなんだな、と思います。

 

ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

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▼参加者の感想より(抜粋)

・ゲームやスマホ依存の問題を取り上げる会はあれど、家族として具体的にどうかかわるかまで踏み込んだこのような会は少なく、大変貴重な講座でした。

 

・ゲーム依存だけでなく、親子関係人間関係に悩むすべてに絡む問題だと思いました。親が子に困っていることを伝えられる関係づくり、「親子だからわかるよね」でなく対話していくこと、大切ですね。対立ではなく対話。自分の価値観はいったん横におき、見えている問題でなく、相手の生きづらさを思いはせることに焦点をあてるって渦中にいると難しいなあと思いました。

 

・「生きづらさは成長の糧、困り感は自己肯定感があるから抱ける」といった、目から鱗の考え方に触れられて勉強になりました。

 

・聴講者もチャットで参加できて、一気に引き込まれました。相手とどのような関係性を築きたいかを考える、相手にも事情や背景がある、相手の側の事実にも目を向ける、自分も相手も責めない、でも自己責任を認める、葛藤を抱える力を持つ、仲間と学びあう、自己肯定感を育てる。。。などなど、見事にアサーティブとつながって。アサーティブはプラットフォームだと改めて思いました。講師の方の「自然体」と「誰のことも否定しない姿勢」にも感銘を受けました。

 

・目的は問題を解決することではなく、対立せず、対話を続けていける関係性を築くことというお話しを繰り返しされていて、印象に残りました。依存症に限らず、家族、友人、職場等での様々な関係にも共通することで、私自身、大切にしていきたいと思います。

 

・関係性を変えていくうえで、「対立せずに」ということが大切だということを学びました。また、イネイブリングという言葉を初めて知りましたが、「困り感」を持ち続けることも大切なのだと知りました。共有できるルール作りや、ルールを破ったときがチャンスという考え方をすれば気持ちが楽になるなと感じました。