2010/3/12 堀田美保

なんだ坂、こんな坂?!

こんにちは。アサーティブジャパン認定講師の堀田美保(みほ)です。

私の住んでいる徳島では、日増しに空気が春めいてきています。
みなさんの地域では、いかがですか?

AM017_L.jpgうちの隣の庭では、が、
「春♪」
と勘違いしたのか、半分咲いています。
でも、残りの半分は、
「あちゃ、まだ春じゃない」
と、予定を変更し、じっと待機しているようです。

桜にとっては、まだ微妙な季節ですが、
人間にとっては、この時期、早春の風に出会うと、
たとえ眠たい通勤途中でも(?!)、なんだか心がウキウキしてきますね。

そういえば、
毎日通る同じ坂道や階段なのに、
いいことがあった時には、あっという間にクリアしていたり、
心が軽いと、からだまで軽い気がしたり、ってことってありますよね?

逆に、疲れていると、坂道や階段がやけに長く感じたり、急に感じたり、
登る前でさえ疲れてしまい、見上げてタメ息をついたり...。

こういったことはみなさんにも経験があると思いますが、
単に、元気だとか、疲れているという体の状態や気分といったことだけではなく、
人との関係の状態も、こういうことに影響するんだそうです。

心理学に
「友だちがいると坂道がゆるく見える」
という研究があります。

シュナールさんたちの研究グループ(*1)は、大学のキャンパスにある坂道を使って実験をしてみました。
実験への参加者たちに、坂道を前にして、その傾斜を見積もるようにお願いをしました。
その際、友だちと一緒に参加した人たちと、一人で参加した人たちの見積もりを比べてみると、
友だちと一緒の人たちは、坂道の傾斜をより小さく見積もっていたのです!
さらに、その友だちとの関係の長さを尋ねたところ、付き合いの長い友人といた人ほど、傾斜の見積もりが小さかったのです。

さらに、実験が行われました。
今度は、実際に友だちといるのではなく、一人で参加しているけれども、
友だちのことを心に浮かべてもらった上で、坂道の傾斜を見積もる
よう依頼しました。
思い浮かべてもらう友だちは、以下の3つのうちのどれかでした。

?    参加者にとって大切な人で、困ったときには頼りになるような誰か
?    よく会うけど、特に好きでも嫌いでもないような誰か
?    かつては大切な人だったけれど、困った時に裏切った誰か

さて、結果はどうなったと思われますか?
おそらくみなさんの予想通り。

?や?よりも、?の「自分にとって信頼できる人」のことを心に浮かべた人は、
「坂道はたいしたことがない(傾斜が緩い)」
と感じられたそうです。
また、思い浮かべた人に感じている、親しさ、近さ、温かさといった、「関係の心地よさ」が高い人ほど、見積もりが小さかったそうです。

他にも、いい関係にある人を心に思い浮かべると、からだの痛みを感じる程度が弱まる、という研究結果もあります(*2)。

つまり、
大切な人、安心できる人、信頼できる人を想像するだけで、
自分の心の中のエネルギーとなって、
自分が直面する事態の厳しさの感覚を和らげてくれる、

ということです。

しんどい時、つらい時、
心にそんな人を思い浮かべられるよう、日々、人とのいい関係を築きたいですね。
大切な誰かとの絆をもっと強めるために、「大好きだよ」「ありがとう」のことば、
是非、伝えてみてください。



*1Schnall、 S。、 Harber、 K。 D。、 Stefanucci、 J。 K。、 & Proffitt、 D。 R。  (2008)。  Social support and the perception of geographical slant。  Journal of Experimental and Social Psychology、 44、 1246-1255。
*2Brown、 J。 L。、 Sheffield、 D。、 Leary、 M。 R。、 Robinson、 M。 E。  (2003)。  Social support and experimental pain。 Psychosomatic Medicine、 65、 276-283。