2011/8/17 中野満知子

紫陽花の思い出

こんにちは。アサーティブジャパン認定講師の中野満知子(まちこちゃん)です。

仕事帰りのバス停まで、玉川上水の緑地を歩いた。
足の裏から伝わってくる土の感触が心地良い。
そこだけうっそうと茂る緑濃い、わずか幅20メートルほどの別世界が羽村から四谷まで43キロも続く。
私が歩いたのはわずか1キロにも満たない距離ではあるが、それでもときおり犬を連れて散歩してる方とすれ違うくらいの静寂は、心を落ち着かせるのに十分であった。

ajisai.jpgふと紫陽花(あじさい)の花が目に止まる。
雨あがり後すぐのその花びらは、その青色がいっそうみずみずしく濃い緑のなかに映えている。

中学生になって初めて油絵の具を手に入れ、最初に描いた作品が紫陽花である。
目に映る美しい澄んだ青を描きたかったのだが、何度も色を重ねるほどに透明感はなくなっていく。
葉や花びらの重さが際立つ頃、それはそれでよいかと、全体に暗くなってしまった絵をここまでと、おしまいにした。

当時母と2つ違いの妹である叔母が近所に住んでいて、その絵をたいそう気にいってくれた。額縁に入れて居間に飾ってくれたのである。

叔母の家に遊びに行くたびに、目に入るその絵をちょっと恥ずかしい思いで、それでもどこか誇らしく眺めたものだ。

言葉より、こうしたプレゼントで私に自信を持たせてくれた、ほめ上手の叔母であった。時々自信が揺らぐ時、「おばちゃんはまちこちゃんの絵が大好きだよ」と言ってくれた声を思い出す。