2019/4/16 渡辺由美
その場で「YES」と即答してしまう時
こんにちは。アサーティブジャパン専属講師の渡辺由美です。
4月に入り、新年度になって新しい部署に異動された方も多いのではないでしょうか。
「人事異動」という言葉を聞くと、かつて自分自身が「異動」を打診されたときのことが思いだされます。
何度か「異動」は経験していましたが、このときの打診はまさに晴天のへキレキでした。突然会議室に呼ばれて、まったく経験したことのない思いがけない部署(しかもかなりトラブル続きだという噂のある部署)へのリーダーとして異動を打診されたのです。
びっくりしましたが、その時の私は会社側からのオファーに「NO」と言う選択肢はないものと思いこんでいたので、仕事の内容は確認したものの不安なまま承諾しました。
「どうしよう、私には無理かもしれない…」と自席に戻り、隣の席の同僚にこっそりその話を伝えると、「度胸があるね。その場でOKしたんだ」の一言。
その時初めて、その場で「YES」と即答しない選択肢もあったことに気づきました。
結局そのまま私は異動となり、赴任した新しい部署は噂どおりトラブルが山積みでリーダー・サブリーダーの退職が決まっており、十分な引継ぎもないまま仕事はスタートしました。知識のない私は、サブリーダーのサポートのないまま孤軍奮闘がんばりましたが、結局自分ひとりのがんばりでは力及ばず、下のメンバーや取引先の方にも迷惑をかける結果になってしまいました。
最初異動の打診の場で度胸よく「YES」と伝えたものの、結果としては無責任な仕事の引き受け方になってしまったのです。
あのとき即座に「YES」と言うのではなく、もう少し詳しく話をきいたり希望を伝えて交渉ができていたら…と思いました。
業務に不慣なれな点の心配や具体的な懸念を伝えたうえで「異動にあわせてサブリーダーも任命していただき、一緒にチームの建て直しができるような体制にしてもらえないか」など、仕事につくにあたっての希望や提案をこちらから伝えられていれば、結果として自分ひとりで抱え込んで、まわりに迷惑をかけることも少なかったのではないかと思います。
「評価が下がるのではないか」
「能力がないと思われるのではないか」
「関係性が壊れるのでは」
と不安にかられて、今でも反射的に「YES」と言いそうになることがあります。
そんな時も、二つ返事で引き受けるのではなく
「自分の現状はどうなのか」
「相手は何に困っているのか」
「自分はどうしたいのか(何に協力できるのか)」
を考えるステップを踏んでアサーティブに伝えることを忘れないようにしています。