#4
つたわるノート

過去の自分を責めることは、もうやめよう書き手:森田汐生(アサーティブジャパン 代表)

アサーティブに自分の気持ちを伝えたいと思う時、肝に銘じておかなければならないことの一つに、「相手を変えることはできない、変えられるのは自分だけ」ということがあります。目線と言葉の矛先が「相手」に向いている限り、どんなに表現を磨いても、どんなに理論的に伝えても、やっぱり相手の心に届かないし、状況は変わっていかないのですよね。

ただ、自分の中の「何を」変えることが、自分も相手を責めないことにつながるのかを見極めるのは、結構難しいなと思います。自分の中の変えるポイントを見誤ってしまうと、やはりうまくいかなくなる。

私自身も思い当たることがあります。

仕事はともかくも、プライベートに関することは、何かを言われると結構凹みます。きつい言葉を投げつけられたとき、ついつい「〇〇は言わないでほしい」「△△はしないで」と感情的に反撃しそうになってしまう。心の中で呪文のように、「相手を変えるのではなく、変わるのは自分」と唱えながらも、自分の中の「何を」変えることがそうなのか、長い間、手探り状態でした。

感情的にならないようにしよう
反撃をしないように、ひと呼吸おこう
心を落ちつけて、対応しよう

怒りを抑えるための様々な対処法を試してみましたが、やっぱり相手の言葉に反応してしまう自分はなくなりません。自分の中の目線が相手に向いたまま相手がどう出るか待ち構えている状態では、やっぱりうまくいかないのです。

そうでなくて、相手がどうであれ、自分自身のありよう、心のもちよう、を変えること。自分自身に対する自分の"見方"を変えること。そのツボはどこだろうと、つらつら考えておりました。

ふと気づいて、ああ、そうだと思ったのは、
「過去の自分を責めることは、もうやめよう」
ということでした。

あれができなかった、こうすればよかった、あれをすべきでなかった...、過去の自分を許せていない限り、過去に対しての批判にはつい防衛心が働いて感情的に反応してしまうのですよね。

そうではなくて、できなかったことはできなかったのだ、過去の自分もかけがえのない自分。そんな私もOKだし、精一杯がんばったのは事実。
でも、「今」と「これから」は、自分で変えることができる。
だから、過去の自分を責めることは、もうやめにしよう。

そう決めた時から、きつい言葉に反応することがなくなりました。

相手に反撃したくなるのは、ほとんどの場合、自分を正当化したいから。自分を防衛したくなるからこそ。だからこそ、まずは自分を責めない。過去の自分も100%、「それで生きてきた自分もよし!」と許してあげられること。そうすれば、相手に振り回されないし、周りにも寛容になれるのでしょうね。

頭でわかっていても、ついつい入り込んでしまうこの迷路。
アサーティブ、修行、修行。
自分に言い聞かせているこの頃です。