素敵な話を聞きました。小さな子どもを持つお母さんのための講座を担当した講師が、参加者の方から聞いたお話です。その方は、子どもを2人持ち、ものすごく忙しい日常の中、毎日2,3時間くらいしか眠れない日々を過ごしていたそうです。
「自分がやらなければならない」。
そう思って、一人で頑張り続けていたのですが、アサーティブの講座で、「一人でできない時は助けを求めてもいい」ということと、率直に「手伝ってほしい」と頼む"伝え方"を知って、早速夫に助けを求めたそうです。
言われた夫は、「手を貸してほしくないのかと思っていた」と驚き、すぐに手伝ってくれるようになった、ということでした。
私たちは自分の頭の中で「相手はきっと〇〇に違いない」と思い込んで、自分の言葉を飲み込むことがあります。しかし、ちょっとしたことでも率直に頼んだり、伝えてみたりすることで、実はお互いの理解がぐっと深まり、協力できる関係を作ることができるのだという、心あたたまるお話でした。
そんな「小さくても大事な一歩」の話を聞くたびに、私はとてもたくさんの勇気をもらいます。最近はネガティブなニュースばかりが耳に入り、日本の未来に対して絶望的になる時があるのですが、こんな風にあきらめることなく、自分のニーズや思いを率直に言葉にして、問題解決していくお話を聞くたびに、「そうよね、自分から変化を起こすことは可能なのよね」と、気持ちが明るくなるのです。
そんな「小さな変化」を生み出し、今の難しい時代を生き抜いていくための、大事な「力」があると私は思っています。
一つは、自分はこのままでも大丈夫と思える、自己肯定の力。どんな時の自分もOK。失敗しても、うまくいかなくても、「そういう時もあるし、それでも自分は大丈夫」と思えること。
もう一つは、自分は一人ぼっちではないと、他者を信じる力。「どうせ言っても無駄」「わかってもらえない」と最初からあきらめるのではなくて、「それでも大事なことだからわかってほしい」と、自分と相手を信じて思いを言葉にしていく力。
そして、「自分は何かを変えることができる」と思える力。社会に対して全くの無力ではない、どんな小さなことでも自分で選び、自分から変えることができると思える貢献の力。
小さいことだから「大したことない」と飲み込まないで、それでも言葉にしてみる。あきらめないで、心の中のモヤモヤを表現してみる。その時に、誰かのせいにすることなく、「私は〇〇を望んでいる」とまっすぐ言葉にする。そんな小さくても大事な取り組みが、自分を変え、関係を変え、周りを変えていく力になるのではないか。
そうだ、そうだ、と、心が明るくなった、今日のお話でした。