先日、「更年期」というテーマで取材を受けました。
私の周りにも、現在更年期ということで、ホルモンバランスに苦しんでいる方がおられます。テーマ自体は「更年期と上手なコミュニケーション」ということでしたが、お話するうちに、実は背後にいろんなモノや気持ちが見え隠れして、大変奥の深いものだということが分かってきました。
女性の40代から50代の時期は(女性に限りませんが)、身体(ホルモン)の変化があるのと並行して、子どもとの関係、夫との関係、職場の関係が色々と変化する時期です。とりわけ思春期に入った子どもを持つ方は、子どもとの距離の取り方や大人になりつつある子どもとの"子離れ"が課題となってきます。
若い娘に嫉妬の念を感じたり、服装やおつき合いのことで色々と口を出したくなったりするのは、実は自分が"老いて"いくことの不安や、子どもが巣立っていくことの不安などと結びついていることが多いものです。
親の介護の問題もあるかもしれません。「介護」という社会的に孤立しがちな仕事を、更年期のうつうつとした状態で続けるのもなかなかしんどいことです。
管理職となって毎日夜遅く帰ってくる夫は夫で、「そんなこと大したことないだろう!」と妻の気持ちに耳を傾けない。色々と不安な気持ちを訴えてくる妻に、「だから何が言いたいんだ」とそっけない返事。そのため、妻はますますイライラが募ってきて、ついには「もういいわ!」と叫んでしまったり、涙を流してしまったり。
アサーティブは、自分の気持に誠実に向き合うことから始まります。イライラの原因を考えてみると、実はいろんな感情が隠されていることに気づくと思います。子離れへの不安、老いの不安、退職後の夫との関係に対する不安、介護の不安、将来の不安などなど。
アサーティブに気持ちを口に出してみることも大切ではありますが、ここはひとつ、「自分のよき理解者を得る」ためにアサーティブを使ってみてはいかがでしょうか。つらい気持ちを、「そうか、そうか、大変だよね~」と気持ちを聞いてくれる友人、介護についての相談ができる専門家、食事に誘ってくれて大笑いできるサークルの仲間。そんな「味方」がたくさんいればいるほど、人生の大きな変化も乗り越えやすくなっていくでしょう。
更年期は、人生の「変化」に向き合う時期。イライラや不安と上手につき合いながら、日々を生きていけるといいですね。私も近い将来に向き合うことになるテーマではありますが、事務所の女子先輩が、「ねんきーず」というグループを結成して笑い飛ばしている様子に、たくさんの勇気をいただいています。
人生に「変化」はつきものです。自分を大切にしてくれる多くの味方と一緒に、人生の後半を生きていくことにいたしましょう。