トレーナー養成講座

あなたもアサーティブトレーナーになりませんか?

アサーティブトレーナー養成講座とは、アサーティブの理論と方法を様々な現場で伝えたり、講座を適切にファシリテート(進行)できるトレーナーを養成する講座です。養成講座ではトレーナーとして、またひとりの人間としてのコミュニケーション能力を高め、アサーティブに生きる姿勢を磨くことと同時に、トレーニングを行う際に必要な知識とスキルを身につけていきます。


アサーティブジャパンでは、年齢、性別、職業、経歴を問わず、多様な立場の方々にアサーティブの伝え手となっていただきたいと願い、トレーナー養成講座を開催いたします。


アサーティブトレーナー養成講座とは

  • アサーティブジャパン(以下AJ)のミッションに同意し、AJのプログラムに沿ったアサーティブトレーニングを適切に実施できるトレーナーを養成する講座です。
  • この講座を修了し、かつ最終審査に合格された方は、AJのベーシックトレーナー(初級トレーナー※1)の資格を取得することができ、ご自分の地域や職場等でアサーティブを伝えていただくことができます。
  • 講座修了後はAJの会員として各種フォローアップ研修に参加し、トレーナーレベルをスキルアップしていくことができます。

※1)AJベーシックトレーナー(初級トレーナー)とは、AJが定める2~3時間講座(ロールプレイを含まないプログラム)を適切に進行できるトレーナーのレベルをさします。ベーシックトレーナー資格を取得後は、ロールプレイのファシリテーションを含んだプログラムが実施できるスタンダード(中級)・アドバンス(上級)トレーナーの資格を取得することが可能です。

取り扱う主なテーマと内容

  • アサーティブについての理論と方法論を理解する
  • 人権尊重の知識と感覚を養い、多様な立場の人々へのアプローチを学ぶ
  • アサーティブに関するプレゼンテーションスキルを身につける
  • グループワークの方法論およびロールプレイをファシリテートするための理解を深める
  • 自己理解を深め、日常での実践を通して「アサーティブの実践者」となる

トレーナー養成講座の概要・お申し込み方法

受付を終了いたしました

トレーナー養成講座

2024年度【第15期】アサーティブトレーナー養成講座

開催形態
・zoomによるオンライン講座:4回
・都内で集合講座:2回
・その他、ビデオ視聴による各自(自宅)学習
日時
1回  11/23(土) 13:00~17:30【オンライン】
2回  11/24(日) 13:00~17:30【オンライン】
3回  12/21(土) 13:00~17:30【オンライン】
4回  12/22(日) 13:00~17:30【オンライン】
5回  1/25(土) 13:00~17:00【集合研修:東京渋谷】
6回  1/26(日) 10:00~17:00【集合研修:東京渋谷】
最終プレゼンテーション審査【オンライン】
(下記のいずれか1日を選んで審査を受けていただきます)
    2/22(土)・2/23(日)・3/1(土)13:00~17:30

※第5回・6回のみ東京・渋谷での集合研修を予定しています。それ以外の回は、すべてzoomを使用したオンラインでの開催となります。

※上記日程とは別に、自宅でのビデオ視聴とレポート提出による学習が入ります。

対象
アサーティブジャパン主催の基礎講座または、1日ビジネス基礎講座・応用講座(オンライン・集合講座)を修了された方
費用
214,720円(税込み価格)
分割払い可能。参加費を減免する奨学金制度もあります
定員
12名(ただし、応募選考をクリアされた方が8名未満の場合は、次年度まで開催を延期いたします)
講師
牛島のり子(アサーティブジャパン事務局長・専属講師)
竹崎かずみ(アサーティブジャパン専属講師) ほかゲスト講師あり
 
▼お申込み受付期間
2024年8月20日(火)~ 9月20日(金)
(8/20以前にお申込みいただいても受付することができません)
 
▼応募方法
※よくお読みいただいたうえで、ご応募ください。
 
●こちらのお申し込みフォームからお申し込みください。
(郵送、fax、お電話でのお申し込みは受付することができませんのでご注意ください)
 
●お申し込みの際、下記の添付データが必要となります。
 
①参加動機
下記の内容を明記した書類を【PDFにして】、お申し込みフォーム内の「参加動機」欄に添付してください。
 
「参加動機」(PDF)
 1.お名前(ふりがな)
 2.年齢
 3.在住都道府県
 4.参加動機(文字数に制限はありません)
 
※履歴書は必要ありません。
 
※参加動機の書き方について
 
・ご応募多数の場合、選考する判断基準とさせていただくのが「参加動機」の内容になります。
 
・自分がなぜ・何のためにアサーティブトレーナーになりたいのか、どんな立場の方々に・どのような形でアサーティブを伝えていきたいのか、あなたにとってアサーティブとはどんなものなのか、どのように実践しておられるかを、ご自身のお言葉でお書きください。
 
・アサーティブの実践に関しては、「良いこと」ばかりでなく、うまくいかなかったこと、苦しかったことや葛藤なども(もしあれば)ぜひお書きください。
 
・文字数やレイアウトなどに特に制限はありません。またレイアウトに凝る必要はありません。読み手に「伝わるように」書いていただければと思います(つまり、あまりに長文や極端に短文だと伝わりづらくなります)。
 
・皆さんからのアサーティブへの「想い」がつまった「参加動機」が読めることを、心から楽しみにしています!
 
▼選考について
・2024年10月4日(金)までには、選考結果についてメールにてご連絡いたします。
 
・定員を上回る応募の場合はお申込書類による選考とさせていただきます。
・全回を通して参加できる方を優先させていただきます。
・1つの職場から複数応募があった場合は、原則おひとり様のみの選考となります。

受講を検討されている方へ

  • 講座はオンライン〈4回〉と集合型〈2回〉での開催となります。各回の合間にビデオ視聴による学習とレポート提出等の課題が出されます。
  • プレゼンテーション(発表・実技)については、各自で練習していただくことが多くなります。そういう意味で、全過程を修了するのは結構大変です。それでもぜひ参加したい!という方、ご応募お待ちしております。
  • 最終審査(プレゼンテーション等による試験)に合格された方のみトレーナー資格が取得できます。すべての方が資格を取得できるとは限りませんのでご了承ください。(もし最終審査で不合格となったとしても、養成講座修了生として会員登録後に何度でも審査にチャレンジすることができます)。
  • 全講座(オンライン・集合)のうち欠席が12時間をこえてしまうと、養成講座修了とはみなされないことがありますのでご注意ください。
  • トレーナー養成講座への継続的参加が困難と判断された場合は、参加をご辞退いただくこともございます。あらかじめご了承ください。

奨学金制度について

アサーティブジャパンでは、経済的理由からトレーナー養成講座参加が困難と思われる方のために、返済不要の奨学金制度を設けています(参加費全額免除/一部免除、各数名を予定)。


奨学金を受けるには、一定の基準と条件がありますので、詳しくは「トレーナー養成講座奨学金制度についてのご案内」(PDF)をお読みください。そのうえで奨学金を希望される方は、「奨学金申請書」にご記入のうえ、お申し込みフォームの「奨学金申請書」の欄に添付してお申し込みください。

お申し込みの際の注意事項・選考について

応募書類の書き方について、下記の点にご注意ください。


1. トレーナー養成講座への参加動機について

  • ご応募多数の場合、選考する判断基準とさせていただくのが「参加動機」欄になります。
  • 自分がなぜ・何のためにアサーティブトレーナーになりたいのか、どんな立場の方々に・どのような形でアサーティブを伝えていきたいのか、あなたにとってアサーティブとはどんなものなのか、どのように実践しておられるかを、ご自身のお言葉でお書きください。
  • 「良いこと」ばかりでなく、アサーティブを実践してうまくいかなかったこと、苦しかったことや葛藤なども、(もしあれば)ぜひ知りたいです。
  • 文字数やレイアウトなどに特に制限はありません。またレイアウトに凝る必要はありません。読み手に「伝わるように」書いていただければと思います(つまり、あまりに長文や極端に短文だと伝わりづらくなります)。
  • 皆さんからのアサーティブへの「想い」がつまった「参加動機」が読めることを、心から楽しみにしています!

2. 選考について

  • 応募書類を熟読させていただいたうえで、職種・立場・年齢のバランスなどを考慮し、選考させていただきます。
  • 毎回ご応募多数のため、すべての方にご参加いただけないことを本当に心苦しく思っています。ご応募多数で選考となった際、応募の結果についての個別のお問合せについてお答えすることはしておりません。その点何卒度了承ください。

3. その他

トレーナー養成講座についての「よくある質問」や、過去の養成講座のレポートなどは、こちらからお読みいただけます。


▼トレーナーになりたい方のための情報ブログ
https://www.assertive.org/information/trainer/become_a_trainer/

お問い合わせ先

NPO法人 アサーティブジャパン事務局

お問い合わせはこちらからお願いいたします。


〒185-0034 東京都国分寺市光町1-38-2-301
NPO法人 アサーティブジャパン

Tel: 042-580-2280 
Fax: 042-580-2528

アサーティブトレーナーからのメッセージ・体験談

過去養成講座を修了し、トレーナー資格を得たアサーティブトレーナー会員は、全国各地に約150名います。
それぞれのトレーナーは、それぞれの現場で、自分らしさを大切にしながらアサーティブを伝える活動をしています。


様々なフィールドで活躍するアサーティブトレーナーからの「トレーナーをめざす方へのメッセージ」と、養成講座での体験談を掲載します。


多様性を活かした人材開発や組織づくりに活用

大井健司(外資系企業・人事部長)

アサーティブジャパン認定講師・アサーティブジャパン理事

大井健司(おおいけんじ)

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会社員として働きながら、トレーナー養成講座にチャレンジ

私がトレーナー養成講座を受講したのは、12年ほど前のことになります。

当時は会社員として研究開発部に勤務し、他部署や他国の仕事仲間とのコミュニケーションの難しさと大切さを実感する毎日でした。プライベートでは二人の子を持つ父親として約4カ月間の育児休暇を取得し、ワーク・ライフバランスの課題に直面しながらも、公私ともに多忙な日々をおくっていました。

そんな私がアサーティブに出会ったのは、AJの基礎講座への参加がきっかけです。それ以来、人権尊重に基づいたアサーティブの考え方に、すっかり魅了されてしまいました。

講座に参加してアサーティブを知れば知るほど、「この考え方とスキルは、大人たちはもちろん、子どもたちにも必要なものだ」と思うようになり、幅広い対象者にアサーティブを伝える資格を取得すべくトレーナー養成講座を受講しました。

組織にも個人にもアサーティブが必要

トレーナー資格取得後、転職活動をしていたときのことです。
転職先での面接の際、アサーティブについて話をしたところ、「組織にはアサーティブが必要」という点に大いに共感してもらえて、面接者に「アサーティブを社内でぜひ広めてほしい」と言われました。それをきいて、アサーティブは社内文化を変える一助になるのかもしれない、と思いました。

現在、自社はもちろん、他社や地方自治体からも依頼を受けてアサーティブをテーマとした研修を実施し、組織づくりに大いに活用しています。

私自身、アサーティブを実践するなかで、自分がどう感じ、何を考え、どうしたいのか?に誠実になることで、自分らしい生き方ができていると感じます。また相手の言い分や感情についても想像を巡らせ、実際の会話や対話を通して関係性を作っていくことも意識的にできるようになりました。

これは対面している相手との関係構築はもちろん、一対多のようなチーム作りや組織作りにも活かされていると思います。

アサーティブトレーナーをめざす方へのメッセージ

トレーナー養成講座は、講座運営のスキルやノウハウにとどまらず、アサーティブの考え方を軸にして自分自身に向き合い、とことん考えぬき、志を同じくする仲間たちとともに過ごす貴重な体験となります。人生が豊かになります。
ぜひ楽しんで下さい!
そして、一緒にアサーティブを伝える仲間になりましょう。

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発達障害・精神障害を抱える方々とともに

堀内香苗(発達障害・精神障害を抱える方への就労支援/精神保健福祉士)

アサーティブジャパントレーナー会員

堀内香苗

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SEから精神保健福祉士、アサーティブトレーナーの道へ

私は2015年にトレーナー養成講座を修了し、現在は都内の2ヵ所の障害者就労移行支援事業所でアサーティブトレーニング講座を担当しています。

もともとは企業のSEとして10余年勤務していたのですが、30歳をすぎたあたりで体力的な限界を感じて離職し、その後模索を続けた結果、精神障害者支援の仕事と出会いました。精神保健福祉士の資格を取得後は生活支援、休職者の復職支援、メンタル不調を抱える求職者の相談業務などに携わるなかで、アサーティブコミュニケーションとの出会いがありました。

現在は、発達障害・精神障害など様々な障害を抱える方を対象に、その方にあった働き方や仕事の探し方を考え、よりよく生きるお手伝いを仕事にしています。

人はひとりひとりみんな違う。違っていいし、違っているからこそ可能性が広がる。自分とは異質な他者を理解し自分自身も尊重できる世の中であってほしい。その手段のひとつとしてアサーティブを広めていきたいと思い、トレーナー養成講座にチャレンジしました。

障害を持つ方の就労移行支援として

私が担当しているアサーティブ講座は、障害者就労移行支援事業所を利用されている方(主に精神障害・発達障害・知的障害を抱える方々)が対象です。
それぞれに様々な事情を抱えていて、できること/できないこと、社会経験などの基準もまちまちですが、おおむね皆さんが社会生活をおくっていくうえでは、困ったときに率直に助けを求めたり、できないことにはノーを伝えたり、自分の気持ちを伝えたり、ということがむずかしく、そこでストレスや挫折感を感じてしまうことが少なくありません。
アサーティブトレーニングはそんな「困りごと」にダイレクトにアプローチでき、練習することで習得していけるので、とても有効だと感じています。

講座では「無理なく学べる」工夫の連続

私が担当している講座は通常のアサーティブ講座とは違って、参加者のなかには90分の講座に通しで参加することが難しい方がいらしたり、グループワークやロールプレイにうまく参加できず、緊張のあまり固まってしまう方もいらっしゃいます。そういうときは事業所の専従スタッフの方と協力しながら、それぞれが無理なく、自分のペースで、飽きずにアサーティブを学べるよう、工夫を重ねています。

アサーティブ講座のなかで実際に伝える練習したことを、日常生活の中で実践していくなかで、参加者同士でうまくいったり/いかなかったりの報告をしあいながら、次の学びにつながっています。

アサーティブを知って、できることが広がった

私自身、元々人づきあいは苦手な方だったので、アサーティブを知ったことで、人生が豊かになっていると感じます。

たとえば、わからないことやできないと思うことについて、周囲に助けを求められるようになってきました。あきらめたり、我慢したり、虚勢をはってごまかしていた頃より、のびのび生きている感じがします。自分に足りないところを人に助けてもらうことで、できることが広がり、同時に人とのつながりも広がってきました。

アサーティブトレーナーをめざすみなさんへ

アサーティブトレーナーになるためには、自分と正直に向き合うことや、日々の実践が欠かせません。表面的な模倣や頭での理解にとどまっていると、すぐにまわりにバレてしまうのです。
だからトレーナー養成講座受講中は楽しいこともたくさんあったけど、けっこうハードな思いもしました。それででも、長い時間をかけてアサーティブについて語り、学びあえる仲間と出会えたこと、そして多様な現場で活動する先輩トレーナーたちと出会えたことは宝物だと思っています。

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保育の現場にはアサーティブな人間関係が必要

中里弘樹(研修講師・カウンセラー)

アサーティブジャパン認定講師

中里弘樹(なかさとひろき)

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研修を開催する側から、アサーティブを伝える側へ

私が最初にアサーティブに出会ったのは、当時勤めていた職場の研修担当としてアサーティブ研修を導入したことがきっかけです。厳しい現場で働きながらも職場内のコミュニケーションに悩みや課題を抱えていた研修参加者の皆さんが、アサーティブを知ることで徐々にいきいきとして、自信を取り戻していく姿を何度も目の当たりにしました。
そうしているうちに、研修を開催する側だけではなく、実際にアサーティブを伝えられるトレーナーになりたいと思い、トレーナー養成講座を受講しました。

トレーナー資格を取得後は、主に保育現場で働く保育士の方を対象にアサーティブも含めたコミュニケーションスキルとメンタルヘルスに関する研修講師をしています。またカウンセラーとして1対1での面談も行っています。

対人関係の悩みが「保育の質」に影響する

保育現場では、対人関係の悩みが直接「保育の質」に影響するため、スタッフ同士のコミュニケーションや上司・部下間の関係作りはとても重要です。関係が硬直してものが言いづらい職場や、伝えるべきことをはっきり伝えられずに不満をためてしまうような人間関係は、保育のありかたに大きく影響してしまうのです。
そこで、「言いづらいことでも誠実に率直に伝えて信頼関係を築いていく」という趣旨でアサーティブ研修を行うと、毎回参加者からの反響がとても大きく、「気持ちがらくになった」「無理せずできるところから実践したい」といった前向きな感想が多く寄せられます。

コミュニケーションを変えることで、個人がエンパワーされ、職場の風通しが少し良くなり、その結果子どもたちへの質の高い保育につながる。そんな思いで、保育現場の皆さんにアサーティブを伝えています。

対立したとしても「もう一度話せる」ようになった

仕事の面だけではなく私個人にとっても、アサーティブはとても役に立っています。
それはたとえば「自分軸で生きること」、言い換えると「他人や環境のせいにしない」というスタンスが大きいと思います。不満なことがあるとつい他人や環境を責めがちですが、その状態に気づくのが早くなり、「ここはアサーティブでいこう」と自覚でき、結果的に対人関係が良好になることが増えてきました。
特に家庭内のパートナーシップでは、ときに対立しても、「もう一度話せる」ことが増え、年々関係が深まっている気がしています。

トレーナー養成講座で「できない自分」に直面

トレーナー養成講座の受講中は、実際に講座を進行する演習のなかで、自分の考えと行動を一致させることがなかなかできず、辛かったです。「こうしたい」と思っても思うように言葉が出てこないなど、「できない自分」があらわになる度に、モヤモヤしたり、落ち込んだりしました。
しかしどんなモヤモヤも、講座内で質問すると、答えにつながるヒントを必ず得ることができました。ときにはヒントを自分で紐解いて、実践の中で答えを見つけることもありました。今はすべての体験が宝物になっています。また他の受講者のプレゼンテーションを見ることで、自分には出せない味わいや魅力が見つかり、「人とのちがい」を肯定的に受け止められるようにもなりました。

トレーナーをめざすみなさんへメッセージ

アサーティブを他者に伝えようとすることで、きっとご自分のアサーティブにたっぷりの栄養が与えられると思います。トレーナーをめざす学びのなかでは、大変な思いやつまずくこともあると思いますが、ありのままの自分をゆるし、自分が自分の味方でいることが力になると思います。ともにアサーティブを伝えていく仲間として、あなたの学びを心より応援しています。

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依存症からの回復支援に活かすアサーティブ

齋藤広美(精神保健福祉士 公認心理師)

アサーティブジャパントレーナー会員

齋藤広美

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アサーティブを対人支援に活かすために

現在私は、精神科デイケアの依存症部門(アルコール依存・ネット依存)、リワーク部門(うつ病などの復職支援)にて回復プログラムを担当しています。

私が最初にアサーティブを学んだとき、この考え方やスキルは、依存症などの病からの回復に役に立つのではないかと強く感じました。なので、トレーナーをめざそうと思った最初の動機としては、支援の仕事に活かしたいという気持ちが大きかったと思います。

しかし実際にトレーナー養成講座に参加して痛感したのは、アサーティブを支援の仕事に活かす有効性はもちろん実感したものの、それ以前に、まずは自分自身にこそアサーティブが必要だということでした。

自分の課題に向き合っていくなかで

トレーナー養成講座で学びを深めていく過程で、普段仕事はもちろん家庭の中でも余裕がなくバタバタしていて落ち着かなかったり、ものごとがうまく進まないときほど気持ちがすごく揺れてしまう自分に気づきました。
そんな時につい感情的になったり、自分勝手な態度をとってしまったり、心の中では相手を責めている自分の課題にも直面し、本格的に自分自身のためにアサーティブを一から学ぶという姿勢でのぞみました。

アサーティブを学んでよかったと思うのは、自分の課題や感情にすぐに気づくことができ、「上下(関係)の土俵」から降りて、自分も相手も尊重する「対等な立ち位置」に立つことを意識できるようになったことです。
そんなアサーティブのエッセンスを、対人関係で行き詰っている方々や依存症からの回復を目指している方々に伝えていける今の仕事には、大きなやりがいを感じています。

上下関係の土俵から降りるということ

現在私は都内のメンタルクリニックにて、アルコール依存症当事者の方やリワークの患者さんを対象に、アサーティブをはじめ様々なプログラムを実施しています。
アサーティブを取り入れたプログラムを受けた皆さんからは「自分を見つめなおすことにつながっている」という感想をいただくことが多いです。

問題解決も大事だけど、解決をめざすために「対話を続けていく」ことが大切であること、そのために「上下(関係)の土俵」から降りることが重要だということ、人間関係をつい「上下(関係)」で見てしまう自分に気づくこと。
そんなふうに、相手を変えるのではなく自分を変えるために日々チャレンジされている利用者さんや患者さんの姿には、私自身とても励まされています。

トレーナー養成講座での貴重な学び

トレーナー養成講座のなかでは、講座進行の際に「グループ全体を見ながら個人を見ていく」訓練を何度もさせてもらいました。緊張したり不安になったり、評価を気にしたりと自分の心も揺れ動くなかで、グループ全体を見てファシリテート(進行)していく経験は大変ではありましたが、貴重な学びになりました。

トレーナ養成講座を受けてから10年近くたちますが、そのとき一緒に学んだ仲間たちとはいまだにつながりがあります。アサーティブを深く学べることはもちろん、講座(グループ)進行のスキルと心がまえを学べること、そして何年たっても深くつながれる仲間と出会えることが、トレーナー養成講座の魅力だと思っています。

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子どもたちにアサーティブを伝える

小林久美(スクールソーシャルワーカー・自治体の相談員)

アサーティブジャパン認定講師

小林久美

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スクールソーシャルワーカーとして

スクールソーシャルワーカー(SSWr)という仕事をご存じでしょうか。福祉の専門職として学校に配置され、小学校と中学校で子どもやご家族、教職員に対して相談活動等を行う仕事です。私は現在SSWrとして、また自治体の相談員としても、様々な問題を抱えて困窮している方々のご相談を受けています。

現在学校現場では、不登校や虐待、子どもの貧困などの問題は複雑化しており、学校の中だけでは解決できない状況があります。
家庭や学校外の専門機関と連携、協働を求められるなか、SSWrはその架け橋となる役割として学校に配置されます。

子どもにかかわる各専門機関にはそれぞれの専門性があり、異なる価値観から意見がぶつかることが多々あります。また学校内においても、子どもの権利擁護のために、先生方や管理職の先生とは違う意見を伝えなければならない場面があります。
たとえばそんなとき、立場や専門性がちがったとしても、相手の話をきちんと聴いてその考えの背景を理解した上で、落ち着いて、率直に自分の見立てなど意見を伝えることが求められます。

また適切に支援を行うためには組織内で相談・協力し合える関係づくりが不可欠なため、普段からコミュニケーションがとれていることが重要です。支援者同士も様々な価値観や立場があるなかで、粘り強く対話を重ねるアサーティブの力は、そういう面でもとても役に立っています。

安心安全な支援を続けるために

対人支援や相談の仕事は「感情労働」ともいわれています。

支援を行う際のかかわりは常に状況が動く中で継続されるため、すぐに問題解決しないものや解決自体が難しいものも多く、その渦中にいる相談者さんに伴走する支援者自身も迷いや葛藤を抱えながら、疲弊と無力感に襲われることも多々あります。

そんなとき、抱え込みすぎてつぶれてしまわないように、「自分の気持ちに誠実に耳を傾ける」「そのうえでどう行動するかを自分で選ぶ」というアサーティブの基本姿勢は、この仕事を続けていくうえで常に役立っていると感じます。

問題を一人で抱えずに早めに上司や同僚に相談をしたり、プライベートと業務時間のバランスを保つためにまわりに協力を求めたり、どこまでが自分の仕事で何をどこまでサポートするのか、どこから先は相手の力を信じて任せるのかなど、自分と相手の「境界線」を守る行動を選択するときにも、アサーティブの考え方とスキルなしには難しいことばかりだったと思っています。

支援職の方や相談員自身が感情を抱え込んでつぶれることなく、安心安全な支援を続けていくために、自分を守ること=セルフケアは不可欠です。その視点からも、相談員の皆さんにアサーティブを伝える活動も行っています。

子どもたちにはアサーティブが必要

現在私は、主に小学校、中学校、高校の子どもたちにアサーティブの講座を届けています。そのほかにもNPO法人(女性と子どもの支援団体)の仲間たちと、デートDVの被害者にも加害者にもならないための「人とのよりよい関係をつくる」「デートDV防止」講座を中学校や高校、大学に届けています。

アサーティブを届ける小学5~6年生から中学生は、思春期の多感な時期を迎えており、友人関係に悩みながらも試行錯誤してきた体験を参照しながらの感想を多くもらいます。たとえば自分自身のコミュニケーションを振り返り、誰にどんなときに攻撃的になったり、受け身的になってストレスをためたり、作為的なやり方を使ってきたかに気づくことで、「もうひとつの選択肢」であるアサーティブを「自分も使っていきたい!使えたらいいな!」という声が子どもたちからあがります。

中学生対象の講座では、アサーティブの基本姿勢である4つの柱(誠実・率直・対等・自己責任)も時間をとって伝えます。
「誠実とは、まずは自分の正直な気持ちに耳を傾けること」…など、それぞれの柱について具体事例をあげながら説明していくと、彼/女らは真摯に「自分ごと」として受け止めてくれます。
とかくまわりにあわせて苦労しがちな中学生たちから、「まずは自分の気持ちを自分に聞きます」「自分に誠実でありたい」というコメントをもらうのはとてもうれしい瞬間です。
まわりからの期待や同調圧力のなかで日々しんどい思いをしている子どもたちにこそ、アサーティブの考え方・やり方が必要だと思っています。

苦しい時期にトレーナー養成講座を受講

私がアサーティブトレーナーをめざして養成講座に参加していたときは、ちょうどプライベートで大きな問題が起きている渦中でもあり、人生の中でもとても苦しい時期でした。
身近な人との関係で上手くいってない私がアサーティブを伝える立場になってもいいのかと、葛藤を抱えて大変な時期でもありました。

加えて大変なチャレンジだったことは、講座の中で「ファシリテートをする力」を常に求められたことです。
アサーティブを「伝える立ち位置」になることは、今まで使ったことがない筋肉を使うような感じでした。わかったつもりでいたことがわかってないことがわかり、どういう目的で何のために伝えるのか、具体的に言葉にして対象の相手に伝えることの難しさと日々格闘しました。

大変なこと、苦しいことも多かった養成講座でしたが、それでも最後まで受講し修了できたのは、うまくいかないことや葛藤があったとしても「対話を通して人とのよいより関係を築きたい、問題解決をしたい」という気持ちが強くあったこと、そして養成講座の中での志を同じくする仲間たちとの出会いでした。

トレーナーをめざす皆さんへ

トレーナー養成講座で得られるものはたくさんありますが、その中でも大きなものの一つが「アサーティブを誰かに届けたい」と思う仲間との出会いです。同じ志をもつ仲間たちの1人ひとりも、この養成講座にくるまでには家族や友人、職場などの人間関係に悩み、葛藤を抱えながらも向き合ってきた勇気ある人たちでした。

傷つき落ち込みながらも自他尊重する対話に挑戦してきた仲間がいて、互いの話を聞きあい、その人のアサーティブな挑戦に勇気づけられ、厳しい状況に直面しつつも自分を奮い立たせて講座に通ったことは、本当に貴重な体験でした。しんどい思いも多かったですが、あの時間があったからこそ今の自分につながっていると感じます。

アサーティブトレーナーをめざす皆さんは、きっと誰かにアサーティブを届けたいお気持ちがあるのだと思います。そのお気持ちを1人でも多くの人に話し、特にトレーナー養成講座で出会う仲間に伝える語り合うことで、それを実現する力を得られると思います。

アサーティブを学ぶ立場から「伝える」という立ち位置に立つことで、それまでとはまた違うアサーティブが見えてくるはずです。

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